日本野鳥の会が発行する、ワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2025年7月の鳥は、「コヨシキリ」です。
撮影:宇仁 愛治/撮影地:北海道
オオヨシキリとコヨシキリ、ややこしいですよね。
文字を見ているだけでも目が滑ってしまいそうになります。
この見分け方は、夏の北海道にチュウヒ調査に行った時、先輩に教えてもらいました。
「鳴いている時に口の中がピンク色をしているのはオオヨシキリ、黄色いのはコヨシキリ」
また、全長はコヨシキリが15cmとスズメとほぼ同じで、オオヨシキリは18cmです。
ちょうど頭ひとつ分違うという風に覚えておくといいかもしれませんね。
オオヨシキリと同じくらいのサイズの鳥は他に、ツバメ、モズ、シメがいます。
いかがでしょうか。
それでもいまいちイメージが湧かない……というそこのあなた!
最後の判断はやっぱり鳴き声です。
耳をつんざくような大声で「ギョイギョイシ~!」と叫んでいるのはオオヨシキリです。
例えるなら真夏のミンミンゼミのような、いかにも「俺の歌を聞けーっ!」と主役気取りのロックミュージシャンのようです。
コヨシキリはというと「ピュルルルル~♪」と爽やかな声。複雑で早い鳴き声は水笛を吹いた時の音に少し似ています。
うだるように暑い7月の夜、霞ケ浦の湖畔で車中泊をしたことがあります。
東京から離れて人の気配も明かりも数少ない、空一面の星空を眺めようと車のウインドウを開けた時……
「ギョイギョイシ~!」「ギョリギョリギョリギョリ!」「ギリリッ!ギリリッ!」
元気いっぱいのオオヨシキリの声にすっかり圧倒されてしまい、おやおやここはお祭り会場か……とつい言いたくもなりました。
この群衆の中できっとコヨシキリも鳴いているのであろう、と想いを馳せつつも、きっとコヨシキリの小さく早口な鳴き声はオオヨシキリの大声にかき消されているに違いありません。
コヨシキリのメスはこの中からオスの鳴き声を正確に聞き取れているのだとしたら、とても耳がいいなと思います。
鳴き声、見た目、識別、豆知識……様々な楽しみ方ができるバードウォッチングはやっぱり楽しいです。
スタッフIHでした。