8月上旬に開催予定の「ツバメのねぐら入り観察会」の下見に行ってきました。
ツバメのねぐら入りと聞いて、ピンと来る方はいらっしゃるでしょうか。
ツバメは毎年春になると日本にやってきて子育てをし、秋になると東南アジアへ渡って越冬する渡り鳥です。家屋の軒先や建物の壁に巣をつくって、子育てをしているのを見たことがあるという方も多いのではないかと思います。
皆さんにとっても身近な存在のツバメですが、子育てが終わってから南に渡るまでの初夏から初秋の時期、大きな川の河川敷や湿地にあるヨシ原に、夜に集まって休む集団ねぐらをつくります。ヨシというのは、水辺に生える高さ2-3mになる植物で、ツバメたちはこのヨシの茎や葉にとまって夜の休息をとっています。
今回下見に行ったのは、多摩川下流域の河川敷。まだ明るい午後6時半ごろに現地に到着しました。さっそくツバメたちがねぐらにしているヨシ原の対岸から双眼鏡をのぞくと、ヨシ原や水面の上を飛び交うツバメたちを見ることができました。
ツバメのねぐらがある多摩川下流域の河川敷 |
面白いのは、暗くなるにつれて昼間の活動を終えたツバメたちがねぐらに集まり、数がどんどん増えていくことです。観察を始めた時間帯はまばらに飛んでいただけだったのですが、日没の午後7時頃には上空や水面をツバメの大群が鳴きかわしながら飛ぶ迫力ある光景を見られるようになります。
ツバメたちがヨシにとまっている間にその数をカウントしてみると、500羽ほど。飛んでいるツバメを合わせると、合計は1,000羽を超えているでしょう。まだ子育て中で、集団ねぐらに合流していないツバメたちもいるため、7月下中~8月下旬のピーク時は2,000羽以上がこのねぐらに集まると推定されています。これだけの数のツバメが、この都会の中で生き抜いているんですね。
ツバメのねぐら観察の様子 |
ツバメのねぐらがあるヨシ原 |
さて、しばらくヨシにとまったり一斉にヨシ原から飛び立ったりを繰り返していたツバメたちですが、日没から30分くらい経ってあたりが暗くなった頃にはその賑やかさもおさまり、ヨシ原での眠りについたようでした。
今回初めてツバメのねぐら入りを観察しましたが、これだけの数のツバメがこの都会に生息し、子育てをし、そしてわずかに残った自然を拠り所にして生き抜いている姿に、ツバメたちの逞しさを感じずにはいられませんでした。ツバメたちがいつまでも暮らしていけるように、私たちもずっと見守っていきたいですね。
日本野鳥の会では、各地でツバメのねぐら入り観察会を実施しています。詳細や日程は下記URLのリンク先に随時掲載していきますので、皆さんのご参加をお待ちしております。身近なツバメたちの新たな一面を見ることができるかもしれません。
日本野鳥の会 : 全国「ツバメのねぐら入り観察会」のご案内 (wbsj.org)
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