日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2024年9月の鳥はコアオアシシギです。
撮影:上田 恵 / 撮影地:茨城県
コアオアシシギは、水田、湿地、川岸、入り江などに渡来するシギのなかまの鳥です。日本には、主に旅鳥として春と秋に少数が飛来します。全長は23cmで、スラっとした体型と、緑がかった足が特徴です。
eBird※でコアオアシシギを調べてみたところ、識別の解説に「全体的に細く優美な姿をしており、脚は非常に細長く緑がかり、アオアシシギがバレエ学校に通っているのかと思わせる。」と書いてありました。「アオアシシギがバレエ学校に通っている」というかなり独特な言い回しですが、コアオアシシギを見たことがあれば「分かる!」と言ってしまうのではないでしょうか。
解説に出てくるアオアシシギは、コアオアシシギによく似た鳥で、日本ではコアオアシシギよりも飛来数が多く一般的に見られる鳥です。
私が初めてコアオアシシギを見たのも、アオアシシギを観察していた時でした。その日は、蓮田でアオアシシギの群れを観察していたところ、ひときわ白っぽく、スタイルの良いアオアシシギがいました。違和感を持ち観察を続けたところ、アオアシシギと並び、大きさなどの比較ができて、コアオアシシギだ!と喜んだことを覚えています。
見た目はアオアシシギそっくりでしたが、パッと見た時、どこか優雅で、セイタカシギに近いような、たしかにバレエをやっていそうな印象でした。
図鑑を読むと、大きさや詳しい識別ポイントなどが書かれており、アオアシシギより小さい、くちばしが細い、足が長いなど細かい識別点を挙げて、種を絞り込むことが理想ですが、野外では大きさの判断をしたり、細かい識別点まで見ることができるとは限りません。そんな時は、鳥の印象も識別の判断材料の一つになります。
この時も、普段アオアシシギを見ていたからこそ、コアオアシシギの違和感に気付くことができたのかなと思います。普通種を観察することの大切さに気付かされた出会いでもありました。
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