この冬も、国内で高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)の野鳥での確認例が報告されるようになりました。
今シーズンの野鳥における鳥インフルエンザの発生状況は例年になく多くなっています。11月末時点で昨年は51件だったのに対して、今年は64件(検査中の事例を含む)。家禽では昨年は3件であったのに対して11件の発生が起きています。
鳥インフルエンザは、鳥の病気です。養鶏場などのように鳥と濃密な接触をすることがない限り、人への感染は過度に心配する必要はありません。しかし、バードウォッチングによって、知らず知らずのうちにウイルスを運んでしまい、発生の拡大に加担してしまうことがありえます。
ここでは、このようなことを避けるために、どのようなことに気をつければよいのかについてお伝えします。
◆◆ 水辺でのバードウォッチングの注意
鳥インフルエンザは、カモ類などの水鳥が主な宿主とされています。水鳥が集まる池や湿地、湖でバードウォッチングをするときには特に注意が必要です。
バードウォッチングによってウイルスを広げてしまうケースとは、靴や車のタイヤなどに付着したウイルスを周囲の養鶏場などへ移動させてしまうことを想定しています。
そこで、以下の点に配慮していただくようにお願いいたします。
(1)水鳥の糞が多量に落ちているような水際まで近寄らないようにしましょう。
(2)探鳥地から移動する前には、靴底、三脚の足、自動車のタイヤなど、地面に接したものを消毒しましょう。汚れが残っていると効果が低下しますので、泥をよく落としてから消毒しましょう。消毒薬には「消毒用アルコール」が入手しやすく、おすすめです。
※消毒薬は使用上の注意に従って十分注意して使用してください。
(3)できれば、1日のうちに、複数の探鳥地を行き来しないようにしましょう。どうしても必要な場合は、移動の前に必ず消毒をしましょう。
(4)帰りに、養鶏場やアヒル等の飼育場、動物園などには近づかないようにしましょう。
◆◆ 野鳥の死体を発見した場合
鳥の死体や弱っている個体を発見した場合は、素手ではふれないでください。同じ場所で複数の死体を見つけた場合は、市町村や都道府県にご連絡ください。
死体の鳥インフルエンザ検査については、国内での発生状況や種類によって異なります。
詳しくお知りになりたい方は、環境省の
『野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル簡易版(PDF)』をご覧ください。
◆◆ 鳥インフルエンザが近くで確認されたら
鳥インフルエンザが発生した探鳥地に行くのは控えましょう。ウイルスが増殖している場所に大勢の人間が押し掛けることは、それだけウイルスの拡散を助長させる恐れがあります。
また、観察場所の半径 10kmの範囲で鳥インフルエンザが確認された場合は、靴底消毒を徹底するなど、前掲の「水辺でのバードウォッチングの注意」を参考に配慮をお願いいたします。
◆◆ 最後に
冬の水辺は見どころが多く、バードウォッチングに出かける機会が多い季節と思います。いつにもまして、野鳥への配慮や人間社会の生活への配慮が必要な状況となってきています。適切な対策をとることで、周囲の理解を得ながら、バードウォッチングを楽しんでいただけますようご協力をお願いいたします。
◆◆ 参考情報
状況は日々更新されますので、最新の状況は環境省のサイトでご確認ください。