日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2026年9月の鳥は「コジュリン」です。
撮影:宮 彰男/撮影地:青森県
コジュリンは、湿原の草原や河川敷の草地などに生息するホオジロ科の野鳥です。
カレンダー写真に写っているのはメスで、全身が茶色っぽく、落ち着いた色合いをしています。一方、繁殖期のオスは、頭が真っ黒になるのが特徴です。まるで黒い頭巾をかぶっているような姿で、背丈の高い草の先端などにとまり、大きな声でさえずります。繁殖期が終わると、オスもメスに似た地味な色合いになります。
コジュリンによく似た鳥に、オオジュリンがいます。
図鑑で見比べると、オスの夏羽で頭が黒くなるところも、冬の地味な姿もそっくりです。ところが、野外でこの2種の識別に迷うことは、意外と多くありません。
なぜかというと、まずコジュリンがほとんどいないから、です。
オオジュリンは東北以北の湿原などで繁殖し、冬になると本州中部以南のヨシ原などに移動する鳥で、個体数も多く比較的身近に見ることができる鳥ですが、コジュリンは東北地方や本州中部、九州の一部など、非常に限られた場所で繁殖している鳥です。冬には本州中部以南のヨシ原などで見られることもありますが、数はオオジュリンに比べてかなり少なく、近所の河川敷に行けば見られるという鳥ではありません。
ちなみに、日本で見られる「ジュリン」という名前がつく鳥は、コジュリン、オオジュリン、シベリアジュリンの3種。冬のヨシ原では、シベリアジュリンも日本ではめったに見られない鳥ですが、ごくまれにオオジュリンの群れに混じっていることがあります。この2種も見た目がそっくり、バードウォッチャーの頭を悩ませる鳥のひとつです。
コジュリンは、世界的にみてもとても貴重な野鳥で、国際自然保護連合(IUCN)のデータによると、全世界の成鳥の推定個体数は6,000~15,000羽とされています。
現在の繁殖地である草原や河川敷の草地、休耕田なども、開発等によって減少していることから、環境省レッドリストでは、絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。かつて繁殖地だった霧ヶ峰や富士山周辺などすでに繁殖が確認されなくなった場所もあります。これ以上生息地を失わないためにも、現在残されている生息環境を守っていくことが大切です。
一見何もないように見える草原でも、コジュリンのような生き物にとって大切なすみかになっていることを、ぜひ知っていただければ嬉しいです。
スタッフ IM
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