2026/01/05

今月の鳥「ヘラサギ」

撮影:内田 陽二 / 撮影地:長崎県


 私が初めてこの野鳥と出会ったのは、多摩動物公園のウォークイン・バードケージの中、、ではなく、その50メートルほど離れたケージの外周でした。ツル植物が張り巡らされた小さな柵の隙間から、買って間もない双眼鏡を使いやっと出会うことができたのです。詳細は後筆に。最後まで読んでくださると嬉しいです。

さて、まずカレンダーに写っているこの野鳥のご紹介から。名前は「ヘラサギ」。

1番の特徴は、何といってもその嘴(くちばし)。嘴(くちばし)の先がヘラのように広がっていることから名前が付けられました。

このヘラが活躍するのは採食時で、水面につけて、左右にフリフリ。嘴(くちばし)に触れた感覚を察知し、蛙や魚など捕獲します。傍目から見たら、嘴(くちばし)を洗っているように見えますが、実際は、頑張ってご飯を探しているのです。

よく日本で11月から4月に見られるのは絶滅危惧種の「クロツラヘラサギ」。見分け方は「クロツラヘラサギ」は目からおでこ、頬にかけての羽毛がなく、黒い皮膚が露出しています(黒い顔=クロツラが由来)。写真の「ヘラサギ」は顔の部分が白い羽毛で覆われています。

「クロツラヘラサギ」の集団の中に混じっている事が多いようなので、出会った際は顔の部分に着目してみてください。

さて、ここからは私とこの鳥との思い出をお話しします。実は私今年入職して早4ヶ月目、バードウォッチングも未経験。

初めて「今月の鳥」を書く事が決まってからは、先輩方にヘラサギについて聞き回り、1人福岡に行く計画を立てました。先輩から現地の詳しい方を紹介していただき、飛行機、宿の予約もバッチリ。これなら会える!いざ!…と思ったのですが、その2週間前に父が急遽他界するという人生で一番悲しい出来事がありました。流石の私も遠方に行く気持ちの余裕はなく、キャンセルを決めました。悲しみの中、母も元気がなく、何か母を元気づける気分転換はできないか、と考えてバードウォッチングを口実にクロツラヘラサギで有名な葛西臨海公園へくり出しました。私もここに行くのは久しぶりで、オオバン、カモ類、サギ類などを観察し、楽しみました。お目当てのヘラサギには、会うことは叶わずでしたが、母も初めてのバードウォッチングがとても楽しかったようで、元気になってくれました。何よりそれが嬉しかったです。

しかしながら、まだ目的を達成していない私は、最後の砦、多摩動物公園へ。ここなら間近で見れる!と高を括っていました。

入園後、「せっかく来たし、他の動物を先に見ておこう!」と動物園を楽しんだ後、いざ、ウォークイン・バードケージへ。しかし、暗雲が立ち込めます。入口の張り紙に「鳥インフルエンザ対策で展示中止」。肩を落としている私に、

同行してくれた知人がここなら見れるかも、と外側を回ったところ、柵の隙間が見えました。すかさず双眼鏡を手に取り、レンズを覗くとヘラの形の嘴(くちばし)をした鳥が見えました。こうして私はこの鳥と出会うことができたのです。第一印象は、羽繕いの姿。他の種に比べて嘴(くちばし)の面積が広いので、まるで孫の手で背中を掻いてるように見えたのが面白かったです。

今回の一件があり、ヘラサギは私にとってとても思い出深い野鳥となりました。

ご協力頂いた先輩方に感謝すると共に、野生のヘラサギに出会う事も夢見て。


スタッフMH


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今月の鳥「ヘラサギ」

撮影:内田 陽二 / 撮影地:長崎県  私が初めてこの野鳥と出会ったのは、多摩動物公園のウォークイン・バードケージの中、、ではなく、その50メートルほど離れたケージの外周でした。ツル植物が張り巡らされた小さな柵の隙間から、買って間もない双眼鏡を使いやっと出会うことができたのです。...