日本野鳥の会が発行する、ワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2025年10月の鳥は、「ハマシギ」です。
撮影:森本 義光/撮影地:佐賀県
ハマシギは、日本の干潟や海岸に飛来するシギの仲間です。
季節によって羽が生え変わり、色が変わります。夏羽は背中が赤褐色で、お腹の中央に大きな黒斑があります。一方、冬羽では頭から背中にかけて淡い灰色で、お腹は白くなります。
今回のカレンダー写真のハマシギは冬羽の姿です。
ハマシギは旅鳥で、アラスカ北部など北半球の高緯度帯で繁殖を行い、秋になると南下します。日本へは渡りの中継地や越冬地として飛来します。シギの仲間の中では比較的よく見られる鳥ですが、身近な住宅街などで出会える鳥ではないため、見たいと思ったら干潟や海岸へ出かける必要があります。
国内でも有数のシギやチドリの中継地・越冬地として知られているのが、佐賀県の東よか干潟です。ここでは、ハマシギをはじめ、トウネン、ダイゼン、チュウシャクシギ、ダイシャクシギなど、大きさも種も異なるさまざまなシギチが飛来し、数万羽単位の群れを作ります。
私も何度か訪れたことがありますが、広大な泥の干潟に見渡す限りのシギ・チドリの数に圧倒されます。干潟をちょこちょこと走り回って、採餌する様子はとてもかわいらしく、見ていて飽きません。
そして、一番の見どころは飛翔シーンです。ハヤブサなどの天敵が現れたり、潮が迫ってきたりすると、群れは一斉に飛び立ちます。空中で波打つように飛ぶ姿は、光が当たるとキラキラと光って見え、まるで魚群のようです。運よく近くを飛ぶと羽音まで聞こえてきて圧巻の迫力です。
しかし近年、干潟や湿地の減少によって、ハマシギは世界的に数を減らしているといわれています。ハマシギは、繁殖地から中継地、そして越冬地へと、大きな渡りを繰り返す鳥です。どこか一つの場所でも失われてしまうと、その渡りの旅は途切れてしまうことになり、日本の干潟も彼らが命をつなぐうえで欠かせない重要な中継地、越冬地となっているのだろうと思います。
これからもハマシギたちが空いっぱいに群れ飛ぶ姿を見られることを願っています。
スタッフIM
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