日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2023年4月の鳥は、アカエリヒレアシシギです。
撮影:中山 雅晴 / 撮影地:三重県
漢字では、「赤襟鰭足鷸」と書きます。
その名が示すとおり、夏になるとメスは首まわりがきれいな赤茶色になります。
足にはひれがあるため水上生活が得意で、水面を泳ぎ回ってプランクトンなどの食べ物を探します。
子育てをする北極圏と冬を過ごす赤道付近の国々を行き来する生活を送っており、日本では、春と秋の渡りの時期に海上を通過していく群れが見られます。
フェリーに乗っていると、海面にただよう海藻などにとまって休んでいる姿を見つけることができますが、あっという間に飛び立ってしまい、双眼鏡で追うことがなかなか難しい鳥です。
時には河口や海岸に近い池や水田で羽を休めていることもあるほか、意外な場所に出現し話題になることがあります。
昨年9月、野球のナイター試合が行われていた千葉市のスタジアムに鳥の群れが迷い込み、試合が一時中断したことがありました。鳥を追い出そうと選手が走り回る様子をニュースで見たという方もいらっしゃると思いますが、その正体がアカエリヒレアシシギだったのです。2021年には、東京パラリンピックが開催されていた国立競技場にも飛来しています。
気になって調べてみると、過去にアカエリヒレアシシギと思われる鳥が野球場や照明の多い施設に飛来した記録が10件ほど見つかりました。そのほとんどが8月下旬から9月中旬に集中しており、秋の渡りの時期と一致します。
沖合の天候が悪くなり、降りられる場所を探して沿岸に近づいた際に、照明で光る地面を水面と勘違いして引き寄せられてしまったのでしょうか。
今年の夏も、どこかの球場でアカエリヒレアシシギが飛び交う光景が見られるかもしれません。
以上、特に野球ファンではありませんがナイター観戦したいと思った、スタッフTAでした。
日本野鳥の会オリジナルカレンダー
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