日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2023年2月の鳥は、ツグミです。
撮影:脇田薫 / 撮影地:愛知県
日本では冬鳥として知られています。
10月頃になるとシベリア東部から飛来し、3月の暖かいころには再び北へと帰っていきます。
白い眉毛と胸からお腹にかけての黒斑が特徴的で、個人的にはキジのメスの模様らしくて美しいなあと感じます。
そんなツグミを私が初めて見たのは、ある春の日のお散歩中です。
お昼過ぎに川沿いを歩いた後、草むらで寝そべって休んでいた時のことでした。
頭上に伸びているソメイヨシノの枝に突然ツグミが留まったのです。
3月中旬でしたので、もうフライト寸前といったタイミングかと思われます。
しばらくしてから、もぞもぞとした声でぐぜり鳴きを始めました。
さえずりや地鳴きよりも先にぐぜりを聞いてしまったので、その時の感想は「ぐずぐずしてはっきりしない鳴き声の鳥だなあ…シャイな鳥!」
念のため、ぐぜり鳴きについて解説しておきますと、とても小さな声で行われるさえずり練習の鳴き声のことです。
繁殖期に向けて上手なさえずりができるように、嘴をあまり開けずに喉の奥でこっそり鳴いて特訓します。
ぐぜり鳴きって人間で例えるなら鼻歌を歌っているみたいで、見かけると思わず笑いそうになってしまいます。
恥ずかしそうに小さな声で練習したり、ちょっと間違えていたりするのが分かると微笑ましい気持ちになります。
たくさん練習してぜひ一流のシンガーになっていただきたいものです。
がんばれ、ツグミ!
スタッフIH