日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに
掲載されている野鳥について紹介します。
今月の鳥は「ホウロクシギ」です。
撮影:沼澤 七海 /撮影地: 北海道
ホウロクシギは、シギ・チドリ類の仲間で、カムチャッカ半島や
中国北東部で繁殖し、東南アジアやオーストラリアで越冬する
渡り鳥で、日本には渡りの途中に立ち寄ります。
ホウロクシギの特徴は、なんといっても、長く下に曲がった嘴です。
この嘴を干潟などの泥の中に突っ込んで、カニやゴカイ等を食べます。
時々、嘴を泥の中に突っ込んだまま、グルグルと周ることがあります。
恐らく、穴の中で逃げようとするカニを無我夢中で採ろうとしているのでしょう。
グルグルと回ったあとは、ほぼカニをつかまえています。
その後、カニを丸のみにするのですが、カニのはさみや脚があると
飲み込みにくいのでしょう。嘴を上手に使って、カニのはさみと足を取り外して、
胴体だけにしてから丸のみします。
そして2番目の特徴は、シギ・チドリの中でも大きな体であることです。
広い干潟に、ホウロクシギがいると双眼鏡がなくても存在に気が付くことができます。
声も大きくて「ホーイ、ホーイ」と響き渡る声で鳴きます。
広い干潟で聞くこの声は本当に心地よく、
恐らく誰が聞いても印象に残る声だと思います。
干潟にいると存在感抜群のホウロクシギですが、
残念ながら、絶滅危惧種に指定されています。
さらに、ホウロクシギが生息する干潟の多くが、
高度経済成長期に埋め立てられてしまいました。
ホウロクシギをはじめとする、シギ・チドリの個体数は、
ここ数十年で激減していることも報告されています。
広い干潟に響きわたるホウロクシギの声を、
これからも残していきたいと思います。
今回ご紹介した写真が掲載されている
「ワイルドバード・カレンダー2022」はこちらで購入できます。
https://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gd4581
10月から「ワイルドバード・カレンダー2023」を発売します。
お楽しみに!
WILD Sでした。
日本野鳥の会オリジナルカレンダー ラインナップ