日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに
掲載されている野鳥について紹介します。8月はセッカです。
写真の、茎をつかんで両足を開いてとまるポーズは、セッカがよくするポーズ。『フィールドガイド日本の野鳥』には、そのことが絵と文でしっかり記されています。
しかし、私がセッカを初めて認識したのは、姿ではなく鳴き声でした。
河川敷を歩いていると、どこかからヒッヒッヒッヒッ…という声が。
そして、チャチャッ、チャチャッ、チャチャッという声も。
必死に声の主を探すのですが、なかなか見つかりません。
最初は別の声かと思っていた「ヒッヒッヒッヒッ」と「チャチャッ、チャチャッ」でしたが、よく聞いていると必ず同じ順番で、セットで聞こえてきます。
その時は出先で双眼鏡も図鑑も持っていなかったため、「ヒッヒッヒッヒッ…チャチャッ、チャチャッ、チャチャッ」、「ヨシ原(聞いた場所)」というのをスマホにメモし帰宅。
家に帰って『フィールドガイド日本の野鳥』を開き、ヨシ原で声を聴いたので、ホオジロ科かウグイス科かな?と検討をつけ(『新・山野の鳥 改訂版』の場合、「草地の鳥」という見出しで調べられます)、ひとつずつ解説内の「声」のところを読んでいきました。すると、私がメモした通りの鳴き声が記載されている鳥があり、さらにCDで鳴き声を確認すると、まさにその声でした。
それが、私がセッカを初めて知ったときでした。
その後、また河川敷で鳥を見ていた時に同じ声を聞き、その時はさえずり飛翔の姿を確認できました。カレンダー写真のように、しっかりとその姿を観察できることは少ない鳥ですが、一度この特徴的な声がわかると、春から夏にかけての繁殖期に、さえずり飛翔の姿は見ることができると思います。
ちなみに、しあわせことりカレンダーの6月の鳥は、ふわっと羽毛を立てており、同じ鳥には見えないかもしれませんが、こちらもセッカです。
セッカ科、ウグイス科、センニュウ科、ヨシキリ科の鳥は似た姿のものが多く、また、ヨシ原ややぶの中にいることが多いので、見た目での識別は難易度が高いです。でも、さえずりが特徴的なものが多いので、繁殖期であれば、鳴き声に注目してみると識別できますよ。
私はこの春から北海道で勤務していますが、実はセッカは北海道では見られません。関東ではセッカやオオヨシキリがさえずるヨシ原も、北海道ではコヨシキリやオオジュリン。同じ環境でも、緯度が変われば見られる鳥が違うのは面白いですね。
『フィールドガイド日本の野鳥』
https://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gr365/gd3289
『新・山野の鳥 改訂版』
https://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gr365/gd2879
スタッフHでした。
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