2022/08/03

今月の鳥「セッカ」

日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに

掲載されている野鳥について紹介します。8月はセッカです。



撮影:木下 謙吾 /撮影地:熊本県

写真の、茎をつかんで両足を開いてとまるポーズは、セッカがよくするポーズ。『フィールドガイド日本の野鳥』には、そのことが絵と文でしっかり記されています。

しかし、私がセッカを初めて認識したのは、姿ではなく鳴き声でした。

河川敷を歩いていると、どこかからヒッヒッヒッヒッ…という声が。

そして、チャチャッ、チャチャッ、チャチャッという声も。

必死に声の主を探すのですが、なかなか見つかりません。

最初は別の声かと思っていた「ヒッヒッヒッヒッ」と「チャチャッ、チャチャッ」でしたが、よく聞いていると必ず同じ順番で、セットで聞こえてきます。

その時は出先で双眼鏡も図鑑も持っていなかったため、「ヒッヒッヒッヒッ…チャチャッ、チャチャッ、チャチャッ」、「ヨシ原(聞いた場所)」というのをスマホにメモし帰宅。

家に帰って『フィールドガイド日本の野鳥』を開き、ヨシ原で声を聴いたので、ホオジロ科かウグイス科かな?と検討をつけ(『新・山野の鳥 改訂版』の場合、「草地の鳥」という見出しで調べられます)、ひとつずつ解説内の「声」のところを読んでいきました。すると、私がメモした通りの鳴き声が記載されている鳥があり、さらにCDで鳴き声を確認すると、まさにその声でした。

それが、私がセッカを初めて知ったときでした。

その後、また河川敷で鳥を見ていた時に同じ声を聞き、その時はさえずり飛翔の姿を確認できました。カレンダー写真のように、しっかりとその姿を観察できることは少ない鳥ですが、一度この特徴的な声がわかると、春から夏にかけての繁殖期に、さえずり飛翔の姿は見ることができると思います。

ちなみに、しあわせことりカレンダーの6月の鳥は、ふわっと羽毛を立てており、同じ鳥には見えないかもしれませんが、こちらもセッカです。

撮影:Kankan
しあわせことりカレンダー(6月)より

セッカ科、ウグイス科、センニュウ科、ヨシキリ科の鳥は似た姿のものが多く、また、ヨシ原ややぶの中にいることが多いので、見た目での識別は難易度が高いです。でも、さえずりが特徴的なものが多いので、繁殖期であれば、鳴き声に注目してみると識別できますよ。

私はこの春から北海道で勤務していますが、実はセッカは北海道では見られません。関東ではセッカやオオヨシキリがさえずるヨシ原も、北海道ではコヨシキリやオオジュリン。同じ環境でも、緯度が変われば見られる鳥が違うのは面白いですね。

 

『フィールドガイド日本の野鳥』

https://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gr365/gd3289

『新・山野の鳥 改訂版』

https://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gr365/gd2879

スタッフHでした。


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