日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに
掲載されている野鳥について紹介します。
2024年4月の鳥はオグロシギです。
撮影:中村 廣治 / 撮影地:愛知県
オグロシギ(英名Black-tailed Godwit、学名Limosa Limosa)は、
その名の通り、黒い尾羽が特徴です。立ち止まっている時は見にくい尾羽ですが、
飛翔時や、伸びや羽繕いをした時、はっきり見ることができます。
オグロシギは渡り鳥で、日本では春と秋、干潟、入り江、
海岸に近い水田で見ることができます。特に春は繁殖羽と
言われる赤色の羽になっている個体が多く、
写真のように田植え直後の水田に舞い降りると、とても綺麗です。
水田にいるミミズ等を食べて、さらに北上し繁殖地へ向かいます。
繁殖地の1つであるスウェーデンでは、
一時、個体数が激減したことがあったそうです。
原因は農耕地を整備するために、
オグロシギの繁殖地を乾燥化させたこと等によるものだそうです。
ちなみに、学名のLimosaは、ラテン語で「湿地」の意味で、
オグロシギにとってとても重要な環境であることを表しています。
政府、農家、研究者、NGOが話し合い、湿った草原の管理に取り組み、
現在では順調に個体数を増やしているようです。
繁殖地へ向かうオグロシギは日本を中継地として利用しています。
中継地は、繁殖地へ移動するために必要なエネルギーを蓄える場所で、
地球上の様々な場所を利用するオグロシギにとってとても重要です。
田植え前後の水が入った水田には、オグロシギをはじめ、
多くのシギやチドリがやってきます。
水田なので、農家の邪魔にならないようにすることはもちろん、
これから長い距離を飛んでいかなくてはならない鳥たちが
安心してエネルギー補給できるよう、そっと見守っていきたいですね。
日本野鳥の会では、野鳥観察や野鳥撮影するときのフィールドマナーを提唱しています。
見に行かれる前に、一度ご確認いただければ幸いです。
https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/bbw/manner-field/
WILD Sでした。