日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2023年11月の鳥は、ソリハシセイタカシギです。
全長40センチメートル。
細く、長く、そして、著しく上に反った嘴(くちばし)がその名の由来です。体は、白と黒のシンプルな模様で、立ち姿も飛んだ姿も絵になる美しい鳥。まれな旅鳥または冬鳥として干潟や入り江などに渡来します。
ちなみに、英名は「Pied Avocet」。「アボセット」と呼ぶ方もたくさんいます。
中央アジア等で繁殖し、中国南部等に移動しますが、その一部が日本に渡ってきているようです。昔は、出会える機会が少ない珍鳥でしたが、近年は、渡来数が増えてきているようで、出会える機会も増えてきました。
バードリサーチのニュースで取り上げられていたので、ご紹介しておきます。
とても興味深い内容です。
https://db3.bird-research.jp/news/202112-no3/
ソリハシセイタカシギとの初めての出会いは、1978年12月18日、東京大田区の大井埋立地でした。
まだ日も出ていない早朝、通称「汐入の池」に行くと、ソリハシセイタカシギが頭と嘴を背中に入れ、ぐっすりと寝ていました。
当時中学2年、バードウォッチングをはじめて間もなかったため、それほど珍しい鳥とも思わず、近くの干潟に出て、朝飯を食べていました。すると、凄い勢いでやってきた方が「カメラ持っていないか、凄い珍しい鳥がいるんだ!」と・・・。「ソリハシセイタカシギですか?」と聞くと、「そう、その鳥。いなくなってしまわないうちに証拠写真を撮っておきたいんだ」とのこと。急いで友人が持っていたカメラで証拠写真を撮影しました。
翌日、全国から数百人のバードウォッチャーが集まり、凄い賑わいになりました。携帯電話もインターネットも普及していない時代でしたから、いかに珍しく、人気のある鳥だったが分かります。
この鳥の出会いが大きなきっかけとなり、バードウォッチングにはまりました。今でもソリハシセイタカシギが私の中で最も好きな鳥です。もし、出会っていなかったら、バーウォッチングにはまることもなく、日本野鳥の会の職員になることもなかったかもと思っています。
1993年には、千葉県習志野市の谷津干潟に飛来しました。
そのころ私は北海道の鶴居村の「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」のレンジャーでした。谷津干潟でソリハシセイタカシギが飛来していることは知っていましたが、残念ながら会いにいくことはできませんでした。
その後、「谷津干潟自然観察センター」が完成し、当会が運営等を受託することになりますが、「もしかすると、レンジャーは私かな・・・」と思っていたら、道東から千葉県に転勤となりました。
実は、ソリハシセイタカシギとは縁があって、イギリスに行って出会った後は、事務局に異動となりました。
今年の春は、有明海の東よか干潟で、ソリハシセイタカシギと出会いました。
私にとって運命の鳥(勝手に思っているだけですが)。もしかすると、また何か大きな変化があるかも知れません・・・・
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