日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
2023年3月の鳥は、サシバです。
撮影:白木 信生 / 撮影地:大阪府
サシバは、ハシボソガラスとほぼ同じ大きさの中型の猛禽類です。
体は全体的にくすんだ茶色で目立ちませんが、「ピックイー」という特徴的な鳴き声をたよりに見つけることができます。
各地で桜が咲き始めるころ、子育てのためにフィリピンやインドネシアなど東南アジアから、日本の東北地方以南に渡ってきます。
国内では、谷津田(やつだ)や谷戸などと呼ばれる、雑木林に囲まれた低い谷間に水田や畑がある里山の環境を好んで生息します。
猛禽類と聞くと、ほかの鳥を襲って食べるイメージを持つ方が多いと思いますが、サシバの主食はカエルやヘビ、ネズミなどの小動物です。
そのため、狩りの方法はいたってシンプル。
電柱や杭の上にとまり、地面を凝視。動くものを見つけたら、さっと飛び降りて足で捕まえます。
ある時、電柱にとまっているサシバを見つけたので観察していると、何か発見したのか近くの水田に突っ込んでいきました。
稲に隠れて姿は見えないのですが、うまく獲物が捕まらないのか、ゴソゴソ追い回しているようす。
しばらくすると、全身びしょ濡れ、泥まみれになって出てきました。
結局狩りには失敗したようで、元いた電柱の上に戻り、翼を広げて乾かし始めました。
その姿が何とも恥ずかしそうで、精悍なタカの仲間のイメージとは異なる、意外な一面を垣間見た瞬間でした。
私たちの身近な場所に暮らすサシバですが、里山の開発や耕作放棄などで生息環境が悪化しており、絶滅危惧種に指定されています。
当会では、サシバとその生息地を守るため、さまざまな活動に取り組んでいます。
ぜひこちらもご覧ください。
●日本野鳥の会 サシバ保護の取り組み
https://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/sashiba-hogo/
以上、スタッフTAでした。