日本野鳥の会が発行するワイルドバード・カレンダーに掲載されている野鳥について紹介します。
今月の鳥は「ヒヨドリ」です。
撮影:内藤 健晴/撮影地:愛知県
私が子どもの頃、野鳥に興味を抱くきっかけになったのがヒヨドリでした。
夏が過ぎると群れで飛来し、「ヒーヨ、ピーヨ」とけたたましく鳴きながら、家の庭で育てているキャベツをむさぼり食べてしまうのです。
あの鳥はなんだ?と学校から借りてきた図鑑で調べた結果、名前もそのまんまじゃないか!とひとりツッコミをいれたことを今でも覚えています。
ヒヨドリは秋になると、国内で西や南に向かって小さな渡りをします。
私が初めてヒヨドリの渡りに遭遇したのは15年ほど前、青森の大間から函館に向かうフェリーの上でした。
その時はデッキで海鳥を探していたのですが、北から海面すれすれに飛んでくる20羽ほどの小鳥の群れが双眼鏡の視界に入りました。
それがヒヨドリとわかった時にはフェリーとすれ違い、あっという間に津軽海峡の荒波に隠れて見えなくなってしまいました。
渡りの途中で力尽きたり、天敵に襲われたりと、多くの危険を伴うなか海を越えていこうとする姿に、陸上にいる時とはまったく異なる緊張感や力強さを感じました。
この時期に近所の林に集まっているヒヨドリを見かけると、これからどこかに渡る準備をしているのか、それとも既に渡りを終えてほっと一休みしているのかと、あの船上での出会いを思い出します。
ヒヨドリの渡りは9月下旬から10月にかけて、全国各地の海岸や岬などで観察することができます。
みなさんも、一斉に海に飛び出していくヒヨドリたちの姿を探しに行ってみませんか。
スタッフTAでした。
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